「バベル」

yuko20602007-04-07



『あーーっという間の2時間23分でした。』



※画像は映画「バベル」のものです。
表題の★は、私の中の評価です。
★★★★★が満点です。
<★の基準>
★:時間と金返せ!
★★:レンタルDVD(ビデオ)で十分です。
★★★:まぁまぁ〜。映画館でどうしても見るほどではないかも。
★★★★:お金はらってみる価値アリ。劇場で見てください。
★★★★★:超〜最高!オススメ!!もう1回スクリーンで見たい!
という基準で評価してます。



ある哀しい出来事が原因で壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、
リチャードと妻のスーザンとアメリカからモロッコへ旅にきていた。
夫婦の幼い息子と娘はメキシコ人の乳母に託していた。
山道を行く観光バスの中で、事件は起こった。
どこからか放たれた一発の銃弾が窓ガラスを突き抜け、スーザンの肩を撃ち抜いたのだ。
あたりに病院はない。リチャードはバスを移動させ、スーザンを医者がいる村へと運ぶが、
溢れ出る血を止める応急処置がやっとだった。
リチャードが救助に来ないアメリカ政府に苛立つ間、徐々に事件は解明され、
やがて1人の日本人男性に辿りつく。
銃を手にいれたモロッコの山羊飼いの少年、銃の所有者である日本人男性、
彼の聾唖の娘、そして乳母がメキシコへと連れていった子供たち・・・
一発の銃弾は国境を超えて、孤独な魂を抱える人々をつなぎあわせていく。




この映画、2時間23分もあるので、かなり長く感じるだろうなぁ〜と
思ったら「え?もう終わりなの?」という感じであっけなく終わって
しまった感じがしました。
長くても、短くてもいい映画はあっという間だし、つまらない映画は
短くても長く感じたりするし、そういうものなのかな。
そういう意味も込めて、一言コメントを書いてみました。



さて・・
映画は4つの国の人々がそれぞれ関わっていないようで
かかわっているんですが。
ロッコを旅行しているブラット・ピット演じるリチャードと
ケイト・ブランシェット演じる妻のスーザン。
2人は第三子を出産後に亡くしたことから、夫婦に溝が出来、
その溝を埋めるために旅行をするのですが、そこでスーザンが
銃で撃たれ、なかなか助けが来なかったり、同じバスツアーの
バスが彼らを置き去りにして出発してしまったりしまい
そんな時に2人の絆がもう一度結ばれていきます。
スーザンは子供を亡くした悲しみから立ち直れず、リチャードは
そんな妻から恐らく目を背けていたのかもしれません。
そんなことが、途中のセリフから読み取れるのですが。
人は、その人を失うかも・・・と思ったときに「愛」に気づいたり
存在の大きさに気づくものなんですよね。
そんな心理がよく描かれていたと思います。
また、彼らが救急ヘリコプターに乗るまで面倒を見た通訳ガイドの
男性は、最後リチャードからお礼にお金を渡された時「いらない」
と受け取らなかったのですが、心から助けようとしていた、そして
リチャードをお客ではなく1人の人間として助けようとしていたんだな、
ということが感じられ、国が違えども人が人として向き合ったとき
本来の人間らしい心が生まれるんだなぁ〜と思いました。



また、スーザンを撃ってしまったモロッコの小さな村の子供たち、
彼らは譲られた銃で、羊をジャッカルから守るために渡されるのですが
「3km先でも撃てる」と聞いて、面白半分で山の上からバスを
撃ってみて、後で事の重大さに気づきます。
子供のちょっとした遊び心が国際問題へと発展する事件に発展していく
ことなど想像出来なかったでしょう。
そして、その事件で家族がバラバラになり家族に犠牲者が出てしまい、
遊びで撃ってしまった弟が家族の大切さにやっと気づいていくのですが、
この辺りは、今家族の崩壊とか言われている世の中に上手く訴え
かけていますね。



日本は、アカデミー賞助演女優賞ノミネートで話題になった菊池凛子
役所広司などが物語の中心になっていますが、菊池凛子は本当に
「聾唖なのか・・・?」と思わせる演技で素晴らしかったですね。
ヌードになったりするシーンがあるのですがそれも体当たりで、
この辺はさすが、ノミネートされただけあるなぁ〜という感じでした。
日本の舞台は、今の日本をある程度上手く描かれていたような気がします。
都心の公園で男の子達と出会い、ドラッグとウィスキーでハイになり
クラブに行ったり遊び行くのですが、菊池凛子演じるチエコの心は
満たされることがなく、いつも孤独を感じています。
母親が自殺し、その現場を最初に見つけ、友達は彼氏が出来たりしているのに
自分はなかなか出来なかったりそういうイライラしながら生きている
様子が描かれています。
今の日本人は物質的には恵まれていても、心が満たされていない人・・・
特に若者が多いのかもしれないですよね。
そんな日本のある核心の部分をついているなぁ〜と思うし、先進国でも
同じような現象があるのかな、とも思えたりしました。



そして、最後はメキシコ。
リチャードとスーザンのベビーシッターの息子が結婚するので
メキシコに戻ってくるのですが、アメリカに戻ろうとした時、
国境で不法就労であることがバレないため、逃げるのですが。
ベビーシッターが本当に子供達を一生懸命愛して育てていたにも
関わらず、不法就労というだけで国外退去処分にされてしまうところが
無情でもあり、人の心だけでは法律に訴えられないんだなぁ〜と
ちょっと悲しくもあるのです。


そんな4箇所のそれぞれの国でそれぞれの人が抱えている
心の悩みや孤独などが描かれていて、なかなかよい作品だったと思います。
でも、ちょっと主題が重い映画なのかもしれないです。
一方で終わり方が結構あっさりしていて、ここから先は考えてください
みたいな投げかけ方をしている映画だと思います。
アカデミー賞にノミネートされたのも何となく納得の映画でした。