「カポーティ」

yuko20602006-11-04



『思っていたより静かに進んでいく映画でした。』



※画像は映画「カポーティ」のものです。
表題の★は、私の中の評価です。
★★★★★が満点です。
<★の基準>
★:時間と金返せ!
★★:レンタルDVD(ビデオ)で十分です。
★★★:まぁまぁ〜。映画館でどうしても見るほどではないかも。
★★★★:お金はらってみる価値アリ。劇場で見てください。
★★★★★:超〜最高!オススメ!!もう1回スクリーンで見たい!
という基準で評価してます。


1959年11月15日。カンザス州ホルカムでクラッター家の家族4人が、
惨殺死体で発見される。
翌日、NYで事件のニュース記事を見た作家トルーマン・カポーティは、
これを次の小説の題材にしようと決心する。
幼馴染みで彼の良き理解者の女流作家ネル・ハーパー・リーを伴い、
すぐさま現地へ向かう。
しかし、小さな田舎町は前例のない残酷な事件に動揺して、なかなか
カポーティたちのインタビューに応じてくれない。
やがて2人の青年が容疑者として逮捕された。
カポーティは事件の真相を暴くべく、拘留中の彼らに接近していく。



第78回アカデミー賞主演男優賞を受賞作ということで、春先から
非常に気になっていた作品でした。
試写会にも行けなかったので、映画館で見ようと行ったのですが
朝の1回しか上映がないにもかかわらず映画館がガラガラ。
お客さんが10人くらいしかいなくてビックリでした。
もう、公開してから7〜8週目なので、仕方がないのでしょうが。


殺人事件を題材にしているのと、割と前宣伝がサスペンスタッチ
だったので、かなりハラハラドキドキさせられることを覚悟して
見に行ったのですが、最初の殺人事件が起こるところ以外は
それほど、ハラハラさせられず落ち着いて見ることが出来ました。
カポーティのことは映画を見るまで全く知らなかったのですが
ティファニーで朝食を」を書いた作家さんだったんですね。
しかし、この映画で題材になっている「冷血」という本で
新境地を開拓しようとしていたようです。
そのことが映画でも触れられています。
1950年代、想像するに恐らく「犯罪心理」や「犯罪の裏に
何があるのか」ということを書くドキュメンタリー小説は
なかったのではないかと思います。
映画の中でも「これは文学を変える作品になる」というセリフが
ありますし。
今でこそ、「犯罪心理」や「犯罪の裏に何があるのか」を書く
作品がたくさんありますけどね。


とにかくカポーティ自身はちょっとオカマっぽくて、普通の
人じゃないように見えますが、彼と話している人の会話を
聞いていると、人は見かけだけ。。という感じです。
ものすごく才能にあふれているし、人の話を94%覚えて
いられる・・というし。
すごい人だったんですね。
この殺人事件を追ううちに、殺人犯と心を通わし、事件の
背景を何とか聞き出すことに成功するのですが、殺人犯が
本当に心を開いて話せる人がいないことが分かり、カポーティ
唯一、そういう人物になって行きます。
最後の最後、死刑執行を目の当たりにして、なかなか筆が
進まなくなってしまい、晩年はアルコール中毒で亡くなった、
とありました。
才能にあふれていて、とても繊細な人物だったんだなぁ〜と
思います。



映画自体は、よくまとまっていて、良かったと思います。
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの演技は素晴らしかったです。
この人は、個性的で、結構悪役で出てくるイメージがあったのですが
かなりこの作品で強烈な印象を残してくれました。
個性的な主人公を演じるにはピッタリな役者さんだったと思います。
彼の演技はよかったのですが、作品自体に強烈な印象が
思っていたよりなかったので、ちょっと辛めに★4つにしました。
でも、一見する価値ある作品なので、映画好きな方はぜひ
見てくださいね。