「ヴェラ・ドレイク」

yuko20602005-06-23



『映画の核となるテーマが重いですが、良い作品です。』


※画像は映画「ヴェラ・ドレイク」のものです。
表題の★は、私の中の評価です。
★★★★★が満点です。
<★の基準>
★:時間と金返せ!
★★:レンタルDVD(ビデオ)で十分です。
★★★:まぁまぁ〜。映画館でどうしても見るほどではないかも。
★★★★:お金はらってみる価値アリ。劇場で見てください。
★★★★★:超〜最高!オススメ!!もう1回スクリーンで見たい!
という基準で評価してます。




1950年のロンドン。愛する夫と子供たち、かけがえのない家族を
なによりも大切にし、毎日を肩を寄せ合うように、精一杯そして
ささやかだけれども幸せに暮らすドレイク一家の主婦ヴェラ。
生きていることを感謝し、隣人への心遣いを忘れない。
誰よりも心やさしい女性だった。
病気で動けない近所の人たちを訪ねては甲斐甲斐しく世話を焼き、
家族団欒の時間を大切にし、いつも笑顔を絶やさないヴェラの心は、
夫が自慢するように、まさにダイヤの如く輝いていた。
彼女には、夫にさえ話していない大きな秘密があった。
それは望まない妊娠をして困っている女たちに、堕胎の手助けを
することだった。
そしてその秘密があかされるとき、彼女はそして家族は
どうなっていくのか・・・。



この映画はヴェネチア映画祭金獅子賞、主演女優賞をはじめ数々の
映画賞を受賞し、本年度アカデミー賞主要3部門にノミネートされた
ということらしいです。
その割には淡々としていて、あまりいい映画ではないかも・・・と
期待しないで見にいったのですが、なかなか映画の核となるテーマが
重たいですし、それぞれのキャラクターの言い分などが、その
ストーリーを上手く動かしていましたし、なかなかよい作品でした。
ただ、重たい映画なので映画館で見たい人、DVDでじっくり見たい人など
さまざま居るのではないか・・と思い★3つというちょっと辛口の評価を
つけてみました。



戦後から少ししか経っていないまだ、今のように豊かな時代では
ないんですね。
そんな中で、ヴェラ・ドレイクは堕胎手術をするのにお金を払えない
女性達を助けようと、無料で堕胎手術をしていたわけです。
しかし、当時の法律では堕胎自体が犯罪で、襲われてしまって
望んで妊娠しなかった場合なども、出産しなければならないという
風潮が合ったようですね。
これは、想像するに恐らく、キリスト教の影響が強かったのでは?と
思うのですが。
今では日本でも中絶はそれほど、大きな問題でも犯罪にもなりませんが
この映画を見ていると、いろいろ考えなければいけませんね。
警察に捕まって秘密がバレた時、彼女はただ黙って裁きに従うしか
ないのですが、もう少し情状酌量の余地があってもいいのでは?と
思ってしまうのですが、これが「堕胎は重罪」という時代背景が
そうさせてしまっているわけですし、男性もまだ、今ほどこの問題に
理解がない時代だから、仕方がなかった・・という感じなのでしょうね。
ちょっと、同じ女性としてやりきれなさを感じてしまったのですが。
それでも尋問・捜査した警察官はそれなりに情状酌量の余地ありと
持っていこうとしているのですが、最後はやはり厳しい判定を下されて
しまいます。



ヴェラがやっていたことが家族にわかってしまった時、夫は
本当は怒っていながらもヴェラを理解し、やさしく包み込もうとしている
けれど、息子はやっぱり「理解できない」ってショックで、
顔を見ようとしないわけです。
娘は、それなりに考えていることがあるのか。。。もともと大人しい
性格だから何も言わずにいるわけです。
自分だったら、どんな気持ちになって赦せるのか・・と考えても
しまいましたね。
そして、それぞれの登場人物の動きやセリフなどで、上手く見る人を
映画に引き込んでいるいい作品だったと思います。
核となるテーマが重たいのでそういう映画が好きな人にはオススメですね。