「海を飛ぶ夢」

yuko20602005-05-01

英題:The Sea Inside
原題:Mar adentro




※画像は映画「海を飛ぶ夢」のものです。
表題の★は、私の中の評価です。
★★★★★が満点です。
<★の基準>
★:時間と金返せ!
★★:レンタルDVD(ビデオ)で十分です。
★★★:まぁまぁ〜。映画館でどうしても見るほどではないかも。
★★★★:お金はらってみる価値アリ。劇場で見てください。
★★★★★:超〜最高!オススメ!!もう1回スクリーンで見たい!
という基準で評価してます。



19歳でノルウェー船のクルーとなり、世界中を旅して
まわったハビエル・バルデム演じる主人公の
ラモン・サンペドロにとって、海は世界へ向けて開かれた
広大な扉だった。
しかし6年後、皮肉にもその海で引き潮の時に飛び込んでしまい、
その時海底に頭をぶつけ首を損傷し、四肢体不自由の身に
なってしまう。
部屋の窓を開け意識だけを外の世界に馳せ、寝たきりの
生活を送る日々。
その生活を30年間続けた末、ラモン自ら人生にピリオドを
打つことを決意する。
ところが、ふたりの女性の存在によって、彼の世界は大きく揺らぐ。
ラモンの闘いを支援する弁護士フリアと、反対に、ラモンの死の
決意を翻させようとする村の女ローザ。
ラモンの魅力溢れる人柄に惹きつけられていく彼女たちは、
ラモンとの触れ合いを通じて、生きること、死ぬこと、
愛することの意味を模索していく。そ
してラモンもまた、人生の意味について思いをめぐらせる。


この作品は、実在の人物ラモン・サンペドロの手記
「レターズ・フロム・ヘル」を元に映画化した作品だそうです。
ハビエル・バルデムが特殊メイクでリアルに演じているそうです。
ハビエルは実際は28歳くらいの男性で、特殊メイクにより、
初老の男性を演じていたという話です。



ゴールデン・グローブ賞や、アカデミー賞最優秀外国語映画賞
選ばれた作品作品だということで、どうしても見たくて、
今日は【映画の日】だったので見てきました。
非常に素晴らしい作品でした。
主人公のラモンの苦悩、心の動き、口は悪いけどとても人間味が
あって、彼が自殺しようとしていることを「本人の意思だから」
とはいいつつも、家族や周りの人は本当は反対していて
苦しんでいるようすなどが、とてもリアルに描かれていました。
尊厳死」が問題になっていますが、実際には本人が死にたい
といっても、手を貸した人は罪に問われてしまったりしますが、
この映画の主人公のラモンも自殺を実行する前に「手助けした
人たちを決して罪に問わないように」と言っていますね。
これからこの問題は、ずーーっと議論されていくでしょうから、
多くの人に映画を見て考えて欲しいものです。



映画の冒頭のラモンのセリフが印象的でした。
「常人にとって、ほんの1mという距離はカンタンに縮められる
距離だけど、肢体不自由の私にとってその距離は永遠だ」と。
好きな人に触れることすら出来ない苦悩。
そんな、苦悩を持ったら、そして人の助けを借りなければ
生きていけなくなってしまったら、多分私でも同じように
自殺を選択するかもしれません。
しかし、周りの人たちの悲しみは計り知れないものでしょう。



正直、映画をいっぱい見すぎているせいか、周りの人の反応が
気になってしまうせいか、なかなか映画で泣けないのですが、
この映画は素直に泣けました。
ストーリーに大きな仕掛けがあるわけでもないけれど、
人の心の動きのドラマだけで人の心を動かせる、素晴らしい
作品でした。
今週末で公開が終了してしまう映画館も多いようなので、
ちょっと残念ですが、とても心が揺さぶられる作品なので
是非、たくさんの人に見て欲しいと思います。
アカデミー賞を受賞した」ということで見る前からかなり
期待して見に行ったのですが、期待はずれに終わらずに
よかったです。
この作品を見ると、他のノミネート作品がアカデミー賞
逃したのが納得できますね。